UNICORN READING Lesson3

7 月 4th, 2008 by admin

文英堂 英語R 008 UNICORN ENGLISH READING
Lesson3 A Deaf Child Listened
(耳の聞こえない子が聞いた)

P.22

BEFORE YOU READ

トーマス・ギャローデット
トーマス・ギャローデット(1781~1851)は,ヨーロッパから合衆国に手話を持ち込み,1817年に初の耳の聞こえない子どもたちのための学校を設立した。世界でただ一つの聴覚障害者のための大学は,彼にちなんで名づけられた。

手話
初め,手話というものは聴覚障害者らの間で,手の動きや顔を表情を利用したコミュニケーションの道具として,自然に発達した。18世紀には,フランス人によってその有用性が知られ,言語として改良された。

P.23

ON THE SCENE

[本文]

A.HISTORY
ダンス舞踊団の物語は,一人の先生が生徒がセレモニーの間に歌を歌っているのを観た1955年に始まります。型の美しさと動きに感銘を受けたので,彼は決心しました・・・

B.DIRECTORS
ウィッシャー博士は,ダンス舞踊団の設立者でした。彼は1955年にギャローデットにやって来て,退職するまでダンサーを指導しました・・・・

C.DANCERS
ギャローデットダンス舞踊団は,約15名の生徒によります。舞踊団の全メンバーはギャローレット大学出身です・・・

D.SCHEDULES
ダンスリハーサル 月曜~木曜
デルタ・ゼータダンススタジオ 午後4時~午後6時

P.24

[1]

1814年、初夏の暖かい日のことだった。若い牧師は、名前をトーマス・ギャローデットといったが、コネチカット州のハートフォードにある自宅前の階段にゆっくりと腰を下ろした。彼はちょうど繁華街からプロスペクト通りにある自宅まで歩いて帰ってきたところであった。ほんの短い距離だったが,疲れを感じた。しばらく弟や妹が他の男の子や女の子と芝生の上で鬼ごっこをして遊んでいるのを眺めていた。彼が,帽子を脱いでひざの上にのせると,彼らのように緑の芝の上を走ったらどんなに素敵だろうと思った。子供の時でさえ,彼は他の子供たちのように飛び跳ねて楽しめるほど体が丈夫ではなかった。

彼はふと,芝生の端で鬼ごっこに参加していない小さな女の子に気が付いた。彼女は8歳か9歳くらいに見え,こぎれいなピンクの服を着ていた。彼の注意を引いたのは,彼女の奇妙にぽかんとした表情であった。彼女は周囲で騒ぐ子供たちをただじっと見つめていた。そうかと言って,彼女は病気でもなさそうだった。なぜ彼女は他の子供たちと一緒に遊ばないのだろう。

p.25

トーマスは弟のテディを呼び出した。9歳のテディが階段にピョンと飛び乗ると,トーマスはピンクの服を着た小さな女の子について尋ねた。「ああ,彼女は通りの向こうのアリスだよ。コグズウェルさん家の子。」テディが言った。「彼女,耳が聞こえないんだ。聞いたり話したりできないんだ。自分の名前がアリスだっていうことも分からないんだよ。」

テディは笑っている子供たちの方へ走って戻って行った。トーマスは,アリス・コグズウェルの方へと芝生を横切って行った。途中で,かがみこんで草むらの一本の小さなすみれの花を摘んだ。それを彼女の方へ差し出した。彼女は用心して受け取ったが,トーマスが手を取り階段へと導くのを許し,二人はそこに腰を下ろした。

P.26

アリスはまぶたの上でそっとすみれの花をこすってから鼻の下に持っていった。
トーマスはアリスを見下ろした。彼女は長い,カールした金髪のかわいい女の子で、どこも悪いようには見えなかった。彼女が言葉のない静寂な監獄の中に生きていると誰が推測できただろうか。

突然,彼にアイデアがひらめいた。自分の帽子を彼女の頭にのせ,彼女に微笑んだ。彼は棒切れを拾い上げ,地面に「H A T」という文字を書いた。それから帽子を取り,直接文字の上に置いた。「始まりか,」彼は自問した。「それとも,無駄な努力か。」

P.27

アリスは,妙に甲高い音をたてて,くすくすと笑った。彼女は,トーマスからもらったすみれの花を(手に持って)振ると,彼のチョッキのポケットの中に入れた。

トーマスはもう一度この子に微笑みかけた。彼女の注意を引き,帽子を真っすぐ指し示した。それから文字を指し示した。彼は慎重に棒切れで「H A T」の文字をなぞった。それから再び帽子を指し示した。

今回はアリスは靴で階段をトントンと叩き,指を小刻みに動かした。彼女は二人でゲームをしていると考えたに違いないと,トーマスは後に記している。初めに彼がいたずらをし、それから彼女もそうした。どうやって,彼女に教えようか。

午後遅くまでに,トーマス・ギャローデットと小さなアリス・コグズウェルは仲良しになっていた。トーマスは弟や妹がいたから,子供に慣れていた。そして,からだが弱く,他の子供たちと一緒にいられなかったこともあってか,この耳の聞こえない子供に親近感が湧いた。
初め,アリスは,なぜ彼が帽子に触れ,地面に書いたものを指し示し続けたのか,不思議に思ったに違いない。

P.28

それから,アリスの不思議に思う気持ちとトーマスと一緒にいるうれしさが,「H A T」という文字と,この微笑んでいる男性が頭にかぶっている物体とのつながりを彼女が理解できるほど,広く扉を開かせたに違いない。アリスは突然帽子をひったくると地面に描かれた言葉を指し示した。彼女は,興奮して帽子を叩き,階段からぴょんと飛び降りた。

「H A T」と帽子?つながっていたのである。
地面に降りトマスはひょいとアリスを抱きかかえた。彼の疲れはどこかに行った。なんと素晴らしい日なのだ。叫びたかった。

アリスも新しい友人を見つめた。彼女は夢中でトーマスの手に棒切れを押し付け,拳で自分の肩を叩き始めた。「私は?私は?私は?」彼女は,そう言っているようであった。

トーマスはまたにっこり笑った。彼は棒切れで地面に大文字の「A」を書き始めたが,それはまさにアリス・コグズウェルの名前の最初の一文字であった。

[2]

p.29

その日の晩,コグズウェル博士は何が起きたか信じられない様子だった。彼は自分の娘を敬慕し,それはトーマスも分かったのだが,2歳のときに彼女から聴覚を奪ったしょう紅熱について語った。彼女は,自分が知っていた言葉も忘れた。4歳までには,聾唖(すなわち,聞いたり話したりできない)であると診断され,理解力もないものだと思われた。

コグズウェル博士は娘に対するこの診断(判断)を決して受け入れなかった。彼は,彼女が知的障害であるとは信じなかった。たとえ厳重に閉じ込められているとしても,知性はこの娘の中で生きているのだと確信していた。

p.30

しかしコグズウェル夫妻は,アリスを数少ないヨーロッパのろう学校の一つに送り込むことをためらった。夫妻は彼女の無力に恐れ,自分たちだけで彼女を教育しようとしたがうまくいかなかった。しかし,今や,午後,コグズウェル博士は若いギャローデットがある種の奇跡を起こしたのを目の当たりにしたのだ。彼はうれしさのあまり叫んだ。「アリスをヨーロッパの学校に通わせなくてもすむんだ。この子は無学のまま生きる必要はないのだ。」それから彼はトーマスの方を向いて,アリスを助け続け,彼女の教師になって欲しいという願いを口にした。

夕食までに,トマスはフランスの神父であるアベイ・シカールによって書かれた「The theory of signs」という題名の2冊のフランスの本を持ってコグズウェル家を後にした。

p.31

翌朝,トマスはアリスを散歩に連れ出した。彼女は興奮して物から物へと走っては,その名前を知ろうと彼の方を見た。彼は,コグズウェル博士がくれた本から学んだとおり,一つ一つの単語のつづりを彼女に指で書いてみせた。明日は,イメージを創り上げる手話というものを教え始めようと彼は思った。例えば,赤ん坊を表すサインは,まるで赤ん坊を抱いているかのように右手を左腕でゆすることで表された。しかしながら,多くのサインはもっとあいまいだった。「孤独である」という単語は右手の手のひらを左に向け,人差し指を唇と交差させて上から下に引くことで示された。
それからは,トマスは,週末をニューイングランドの教会で説教することに費やし,平日をアリス・コグウェルに口によってではなく,手によって話される言葉を教えることに費やした。トーマスの弟や妹も加わり,手話と指文字を教え,アリスが新しく単語を覚えると拍手喝采した。

P.32

彼女は一日におよそ20個ずつ覚えたが,その一語一語が、扉を通り抜け,彼女を隔ててきた壁を越えるように,彼女をさらに駆り立てるのであった。人々はしばしば足を止め,子供たちの一団が空に絵を描くのを見ていた。

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